第8回 審査を終えて|審査員のコメント

 11月15日秋晴れの中、第8回日本オカリナコンクール審査会を伊丹アイフォニック小ホールにて無事行いました。この度は当初から動画審査で開催することとしましたので遠隔地よりの出場も多数ありました。出場者の皆様、好演の数々をありがとうございました。また、この会を応援してくださる各団体様・企業様にも心よりお礼申し上げます。皆様に支えられて、日本オカリナコンクールも成長していけますよう実行委員一同努力してまいります。次回は素晴らしいホールにて開催できますよう期待しております。

日本オカリナコンクール実行委員会 委員長 小林理子

 

 

池上 敏

 

 先日は楽しく審査させていただきました。ビデオ審査ということで、聞き苦しい演奏はなかったし、皆さん、それなりに一生懸命さが感じられて清々しかったですね。以下は審査直後にまとめた総評です。

オカリナ音楽はこれからどこへ向かうのか?

技巧を磨いて超絶技巧でどんなものでもやるのか?

オカリナという楽器の特性を生かした音楽をやるのか?

何れにしても基礎基本をちゃんとしなくちゃ!

 

池上審査員 個評からの印象的な言葉 部分抜粋(選者:小林達夫 以下同じです)     

 プラス評価  難しい曲にチャレンジする精神と姿勢は素晴らしいです。

 マイナス評価 課題曲と自由曲で仕上がりの差が大きいのが気になりました。

 

 

石若 雅弥

 

 昨年に続き審査員を担当させていただきました。残念ながら今年も「動画審査」ということで皆さまの生演奏が聴けませんでしたが、遠方から参加の方も多かったのはよかったかもしれませんね。また初めて参加の方が多かったのも印象的でしたし、今後もまたこのコンクールが広がっていくのが楽しみです。

 

石若審査員 

 プラス評価  歌うように演奏されていて良いですね。/とても正確に落ち着いて演奏できています。

 マイナス評価 もう少し落ち着いて演奏できると良いですね。/もっとフレーズ感を出してみましょう。

 

 

エミリアーノ・ベルナゴッツィ

 

 世界で最も重要なオカリナコンクールの一つであり、素晴らしい音楽家達とオカリナを熟知する方々によって運営される日本を代表するこのコンクールに私が審査員として招待されるのは今年で5回目となります。そして、私はこのコンクールに審査員として招かれ、重大な任務を与えられることをいつも大変光栄に思っています。

 この2年はリアル開催ではありませんでしたが、参加者の方々の演奏ビデオにはこの会を楽しむ気持ちが感じられ、それが私の胸を打ち、大きな喜びと感動を与えました。

 審査員をするときには勝者を決めるためにどうしても判定を下さなければなりません。それはいつも非常に難しいことであり、残念ながら時にはとても正直に、そして美しさが欠ける演奏には批評家となり多くのことを評価しなければなりません。これは私をしばしば悩ませる最も難しい作業です。

 しかしながら、とにかく素晴らしいのは、今回受賞できなかった方々も含め全ての参加者の皆さんが私の心を強く揺さぶったことです。また今後とも、この素晴らしいコンクールにおいて皆さんの演奏を聴けることを願っております。

 心からの賛辞を エミリアーノ・ベルナゴッツィ

 

エミリアーノ審査員 

 プラス評価  聴いていてとても楽しいです。/美しい感情を伝えることができます。

 マイナス評価 正確に演奏されていますが、やはり少し表現力に欠けます。/イントネーションに問題があります。

 

 

小林 達夫

 

 以下は主に自分(達)への戒めの言葉です。

 1「オカリナではこんなもの」という「では演奏」にならないように。

 2「オカリナでもできます」という「でも演奏」にならないように。

 3「オカリナでこそできる」という「でこそ演奏」を目標に。

 自己流の演奏や楽譜にかじりついている(=習熟度の低い)時は「では演奏」になりやすいと思います。複管など広音域の楽器やパワフルな高音管の演奏は気をつけないと「でも演奏」になりがちです。

 3を目指すことはとても難しく、1や2を経験して、でもそこからもう何歩か先を見ていかなくては。と改めて思いました。

 

小林審査員          

 プラス評価   情だけに流されず、よく成されていて美しい。/録音場所の響きが良いですね。

 マイナス評価  高音に比べて中、低音が鳴りません。/フルート奏法からの卒業を。/音名タンギングをしない。

 

 

 

嶋 和彦

 

 対面ではなく録画によるコンクールだったので一概には比べられませんが、シニアの部のレベルが高くなっていることに驚きました。シニアは、人生の経験を積んでおられるので、超絶技巧で聴かせるというよりも、情感で聴かせることができます。皆さん端正で誠実な演奏で、感動しました。

 一般の部は伴奏の有無でかなり音楽的にも技術的にも差が出てきます。同じ人でも、無伴奏の課題曲と伴奏付きの自由曲では完成度が異なっていることが課題かなと思います。

 デュエットや合奏部門は、独奏に比べると完成度は少し低いと感じました。音程やテンポ、リズムは言うまでも無いことですが、音色の融合やフレーズ感の統一を大切にして欲しいと思います。

 

嶋審査員

 プラス評価   情感がよく出ています。/素直な演奏が印象的です。

 マイナス評価  明るい曲調ですので、そのような演奏を。/伴奏が必要な曲と思います。

 

 

橋詰 智章

 

 前回までは実行委員として出場者をサポートする立場でしたが、今回は一審査員として出場者の皆様の演奏を評価する側に立たせて頂きました。

 今回の出場者の皆さんの素敵な演奏の数々、楽しくかつ真剣に聴かせていただきました。お一人お一人の演奏に「物語」が見え、そこには、携わってこられたご家族の支えや愛情、指導者の方々の熱量を窺う事もできました。また、皆さんが練習に費やしてこられた時間は、オカリナへの愛情そのものなのではないかと思います。

 次回はホールでの生演奏を聴かせて頂けることを心より楽しみにしています。

 

橋詰審査員

 プラス評価   表現が工夫されていて感銘を受けました。/表情豊かでダイナミックで好演でした。

 マイナス評価  譜面が大きすぎます。/ダイナミックでしたがピアノに助けられている感が強いです。

 

 

(看板:河野淳子)