審査員のコメント

橋詰 智章

 

 

 

今回も素晴らしい演奏をたくさん聴かせて頂きました。

一演奏家として身の引き締まる思いです。

 

一般課題曲)

自然な音楽作りを心がけましょう。曲に合った楽器を選択する事も大切です。同じアーティキュレーション(同じ位置のスラー)ばかりが続くと耳につきますね。音型に相応しいアーティキュレーションの選択をしましょう。また、全ての音をタンギングしても飽きさせない演奏はきっと出来るはずです。音のテクスチュア(組織)をよく理解し、自然なアゴーギクとタンギングのシラブルを使ってどのように分割すると良いかを考えましょう。

 

シニア課題曲)

半音階、跳躍音程での音程の乱れが目立ちました。一音一音丁寧な音程作りを心がけましょう。シンコペーションの吹き方(跳ね方)にはもう少し拘りたいですね。演奏会場の音の響き方、楽器による鳴り方の違いなども考慮する必要があると思います。相応しい長さ、強さ、音程になるように何度も聞き返して修正していく事が大切です。

 

合奏課題曲)

なんでこんなってしまったの?な演奏が多かったように思います。タイミングを合わせることも大切ですが、多くのアカペラコーラス(用の楽譜)の場合、こんな感じに練習をされてみてはいかがでしょうか。

1)それぞれのパートが、美しいメロディ(歌)になるように演奏しましょう。

2)音程の折り合いを付け、音量バランスを整えましょう。(楽器の選択も)

3)呼吸を合わせて(動きを揃えて)タイミングを合わせましょう。

 

自由曲)

「表現する=スラー」になっていないですか?オカリナ演奏でのスラーは、表現が「弱い」と感じるときが多々あります。ギアが噛み合ってなくて空回りしているような感覚です。音の長短を使い分けて、タンギングをもっと磨きましょう。それが表現力につながることと思います。

 

 

 

橋詰審査員 個評からの印象的な言葉 部分抜粋(選者:小林達夫)     

プラス評価  音形によるスラーなどのアーティキュレーションの使い分けも良好でした。

マイナス評価 もう少し細部に拘りましょう。「こうなってしまった」が多いです。

 

 

 

 

嶋 和彦

 

 

 シニアの部は、残念ながら1位はなかったものの、皆さんそれぞれ演奏に「味」を出されていたと思います。シニアになっても、オカリナを吹き続けることに敬意を表したいと思いますし、表現には若者とは異なる魅力を感じました。ただ、課題曲では、ほとんどの人がフレーズとフレーズのつなぎ目でテンポが詰まっていました。これは徒歩でつまずくことと同じですから、気を付けてください。
 一般の部は、課題曲、自由曲ともに、解釈やアーティキュレーションに多くの課題が残されたと思います。細かな譜割からいかに大きなラインを紡ぎ出して音楽的にするか、管楽器ですから、どのような息遣いやタンギングが適切なのかを考えるには、日ごろから多くの音楽に接して感性を磨いておく必要があるでしょう。
 合奏部門は、テクニック的には易しいと思われる課題曲でしたが、「賛美歌」らしからぬ表現がほとんどでした。曲想について、もっと深く考えましょう。やさしい譜割の音楽ほど、音程やテンポ、各パートの音量が重要になってきます。それが独奏とは異なる魅力ですから、これからも研鑽に励んでください。
 自由曲では、伴奏との音量バランスが今までよりもかなり改善されていました。あくまでもオカリナが主役であることを忘れないでおきたいです。

 このコンクールも10年を超えました。初期のころと比べると、皆さんのオカリナ演奏のレベルは随分と成長しておられると思います。今後がより一層楽しみです。

 

 

 

嶋審査員 個評からの印象的な言葉 部分抜粋(選者:小林達夫)     

プラス評価  曲の雰囲気がよく出ていたと思います。/工夫が良かったです。

マイナス評価 メロディを大切にして演奏してください。/機械的な演奏になっているように思います。

 

 

 

 

 

 

小林 達夫

 

 

 

 コンクールの発足以来、ずっと審査と課題曲の編集をさせていただいております。加えて近年は自由曲の著作権コントロールのお手伝いもしております。今年の審査を終えまして気づいたことをいくつか書かせていただきます。

 

1)自由曲の著作権クリアについて

 前回に続いて今回も大半の方が著作権をクリアした状態でエントリーされています。また、未調整だった方もすぐに手続きしてクリアしていただきました。気のせいでしょうか、最近は権利出版社に電話やメール連絡しましても、以前より結構素早く対応してもらえることが増えたようにも思います。是非この文章をご覧の(コンクールには不参加の)方々も億劫がらずに「楽曲の編曲使用の許可」を問い合わせてみられることをお勧めします。(ただし自分の側も勉強して何を守らないといけないのかを知っておくことが必要です)

 

2)暗譜演奏について

 課題曲については3分の2が暗譜演奏でした。(譜面台使用は8/24 組)また、自由曲も半数以上は暗譜演奏で(13/24 組)いずれも「音楽の世界に誘っていただける」心地よい演奏でした。この傾向が続くことはとても嬉しいですね。

 

3)タンギングについて

 前回は伴奏ピアノとの音量アンバランスがとても気になりましたが、今回は解消されていることが多くて嬉しかったです。代わりに気になったのがタンギングについての未熟さです。管楽器の仲間でもフルートやサックス、クラリネットなどは音が出るまでに一定の時間がかかります。オカリナやその親戚のリコーダーらは最初から音が出てしまいますので「音を作る」ことに無頓着になりがちです。音を作り、音色を磨く最大の作業は「タンギングを磨く」ことだろうと考えます。もちろんタンギングはそれ単独では意味がなく息と合わさって音の出始め=「アタック」を作る役割の半分です。ここから先は長いので、ぜひポテトのホームページ内「よもやま話」をご覧ください。https://www.swpotato.net/

 

4)フルートぶき(吹き)について

 前提としてフルートなど奏法の共通点を多く持つ楽器を習得された方が対象です。「フルートぶき」とは、そもそもはオカリナの親戚にあたる「リコーダー」の習得に当たって陥らないように注意するべきキーワードです。オカリナ(やリコーダー)はそのシンプルさ故の魅力と引き換えに機能的な不足も多く持っていて、フルートのように演奏するだけでは、魅力を引き出すことが難しい、ということです。(オートマ車とミッション車の違いに似ているのかもしれません)前項目「タンギング」もそこに含みますが、スラー・スタッカートでの演奏が不向きであることなど、オカリナの特性を研究される人がもっともっと増えていって欲しいな、と願います。

 

 

小林審査員 個評からの印象的な言葉 部分抜粋

プラス評価  暗譜がとても良いです。 /エレピは正解と思います。

マイナス評価 課題曲はぜひ暗譜をしてください。/音名タンギング風に聞こえます。

 

 

 

 

 

田島 篤

 

 

 

 まずは、素晴らしい演奏を披露してくださったすべての出演者の皆様に、心より拍手と敬意を表します。

皆様の演奏を通じて、改めて音楽の素晴らしさを実感いたしました。

 

音楽に点数を付けること自体、賛否が分かれるテーマであると思いますが、

皆様はこのコンクールに参加するにあたり、その趣旨をご理解いただいていると信じています。

 

審査は多分に主観になりますが、より多くの方々に受け入れられる(であろう)ことを重視し、審査を行わせていただきました。

参加者の皆様の演奏は、どれも想いのこもった素晴らしいものでした。

演奏が素晴らしかったにもかかわらず得点が伸びなかった方や、反対に得点は高くても評価が今一つだった方もいらっしゃったと思います。

このように、評価が複雑に絡み合う結果もありましたが、総じて言えることは、

次の演奏では必ず応えてくれるだろう、応えられるはず・・という「期待感」を強く持ちました。

 

このコンクールでの経験がさらなる飛躍へのきっかけとなることを切に願います。

今後とも高みを目指して研鑽をお続けいただきたいと考えます。

 

歴史と格式のあるこのコンクールで皆様にお会いできたことは、私にとって大変光栄な出来事でした。ありがとうございました。

 

 

田島審査員 個評からの印象的な言葉 部分抜粋(選者:小林達夫) 

プラス評価  とても素晴らしい音楽性をお持ちと思います。

マイナス評価 聴きとれない部分がもったいなく思いました。

 

 

 

 

 

エミリアーノ・ベルナゴッツィ

 

 

 

ご挨拶

 

皆さん、こんにちは。今回もまた、私なりの思いを込めて、皆さんに言葉を捧げたいと思います。

 

コンクールに出場する選手を審査するとき、私はいつも採点を下すのが難しい。音楽は数字で評価されるものではないと信じているし、ましてや演奏家がコンクールに出るために多くの犠牲を払って勉強している場合はなおさらだ。しかし、コンクールは必然的に競争であり、私たち審査員全員が公正で客観的な判断を下さなければならないことは、誰もが知っている。というのも、演奏のレベルが非常に高く、芸術的レベルも非常に高かったからです。

 

私は、本当に感銘を受けた新しい才能を聴くことができた。すでに聴いたことのある人たちの演奏もまた聴くことができた。それぞれの才能を持ち、それぞれの特徴を持ち、それぞれの音楽的アイディアを持っている皆さん一人ひとりが、美しい感動を私に伝えてくれました。若い方から年配の方まで、皆さん全員が、音楽は常に愛と情熱の素晴らしいデモンストレーションであることを教えてくれました。

 

オカリナのためだけの、この壮大で重要なコンクールを実現させるために、毎年協力してくださる委員長をはじめ委員の皆さん、審査員の仲間たち、そしてすべての方々に感謝したいと思います。

 

近いうちに皆さんに直接お会いできること、そしてもしかしたら一緒に演奏できることを願いつつ、大きな愛情と誠意をもって皆さんをお迎えします!

 

...心と共に... 

 

エミリアーノ・ベルナゴッツィ

(DeepL.com(無料版)で翻訳しました)

 

 

 

エミリアーノ審査員 個評からの印象的な言葉 部分抜粋(選者:小林達夫)     

プラス評価  私はあなたの魂とハートから来る音楽が好きだし、それが最も重要なことだ。

マイナス評価 イントネーション(音程)に問題があり、全体的に演奏が少し損なわれている。